2015年ベストアルバム的な
Apple Musicごいすー。
気になってたけれどお金が無くて、、とか、アルバムのように流れで聴きたいよ、、とか、最低限の音質の保証は欲しい、、、とかそういう今までのフィジカルやダウンロードでクリアできなかった部分がある程度クリアされていることはまず大きいと思ってます。
良い意味でも悪い意味でも本当に気軽。
そのため聴く情報量が例年よりも多くなり少し何がベストだとか整理し切れていない面があるのが正直なところです。
もっというと例年よりベストにこだわる気持ちが少し減った、というのが今年の特殊なところだと感じている次第です。
それは悲しいことでもあるのかもしれません。でも悲しんでばかりもいるよりとりあえず利用できるだけ利用して、耳の肥やしを増やすのがリスナーとして誠実な態度なのかな、とか思ったりしています。
とはいえ振り返るのも来年、自分が期待したいものやトライしたいものへの予習にも繋がると思うのでなんとか文章にまとめて整理してみます。
とりあえず今年リリースされて衝撃を受けた、よく聴いた、もっと聴きたいものと、今年リリースはされてはいないんだけれどApple Musicがきっかけで聴けたものを分けてまとめてみます。
今年リリースされたもの
eastern youth / ボトムオブザワールド
今年は私事ながら色々初めてのことが多く、、初めての1人出向現場で挫けそうな時によく聴いていたのがこのアルバムでした。あと今年はonkyoのDACが手に入ったのでハイレゾ音源をよく聴いておりました。で、このアルバムはハイレゾで買ったわりと初期のアルバムだったのでとても印象に残っています。おそらくこれからも聴き続けるであろうアルバム。吉野さんのソロの時から好きだった「ナニクソ節」も収録。激烈元気が出ます。
Tuxedo / Tuxedo
メイヤーホーソーンとジェイクワンによるコンビのストーンズスロウからの作品。今年の夏は「Do it」「Do it」言ってましたね。正直ファレルより聴いていた。単独公演逃して悔やんでいたところサマソニに来て見ることができました。全曲捨て曲無しでゴキゲンになれます。もっかいライブ見て泥酔したいです。
wilco / Star Wars
STAR WARS最高!!!!!!!!!!!!!!!!(映画もこのアルバムも)
突如フリーダウンロードするわよっていうリリースのされ方もさることながら、中身も人懐っこさと、ちょっとつっけんどんした音作りでとてもよく聴いたアルバムの1枚でした。この勝手だけど人懐っこいキャラクターの感じがスターウォーズ的と解釈している。まさにそれはジャケの猫のようなアルバムでもあるのかもしれない、、(いいこと言った)
OMSB / Think Good
「儚い夢を追う無法者と、、」
まず彼が主演しているドキュメント映画が最高でした。「THE COCKPIT」
それ見てからこのアルバムを聴くと感じるシリアスさがまた一層強まるというか、別にシリアスな映画だったとは思わないんですが、盤作って売って食べてく人間というものの覚悟とか、カッコいいと思うものへの執着心を感じました。やれることをキッチリやっていく。そういうのは今年「バクマン」と「THE COCKPIT」から特に強く感じた次第です。
Kendrick Lamar / To Pimp a Butterfly
とんでもないアルバムでした。私はブラックミュージックは完全に後追いの人間なので詳しくないし、聴く人が聴くとこのアルバムの前半はラップしてないとかいう認識があるらしいので、こんなこと言って良いのか分からないのですが、2曲目「For Free?」で「こんなラップってありなのかッ!!!」とぶっ飛びました。
昨年末のディアンジェロの作品とは対を成すと思いますが、いずれもとにかく全編通してブラックミュージックがカッコいいと思える作品。ライブで見たい、、。
Alabama Shakes / Sound & Color
「サウンエンカラッ」ってAppleのCMが流れると思わずテレビを見ちゃいますよね。
そんなことないですか。
昨今のアークティックモンキーズとかからも感じるのですが、音がめちゃくちゃ良くて。荒くても良いとされてきたロックミュージックバンドが売れて、多少音が良いスタジオで録音したらなんか良さがなくなっちゃいましたってレベルじゃない、まるで上質なR&Bシンガーのアルバムなんじゃないかってぐらい洗練された音作り。やっている音楽のスタイルはわりとオールドスクールなんですが全然古臭く聴こえないバランス感覚もある。ケンドリックラマーと同じぐらい今ライブで見たいです。
Jim O'Rourke / Simple Songs
整理しきれない頭の中で、ぼんやり今年前半までNo.1と感じていたのはこのアルバムでした。美しい曲展開と素朴な歌心がとにかく最高の1枚。
ヴァンダイクパークスっぽさもあったりして、ソニックユースの元メンバーであり、フェノバーグのメンバーとは思えないほどポップ精神を感じるアルバムでした。
ここ最近、前野健太や石橋英子ら日本の歌心を持った音楽家と共演していることも影響しているのだろうと感じます。その証拠にメンバーが石橋英子、須藤俊明、
オノ セイゲン&パール・アレキサンダー / メモリーズ・オブ・プリミティヴ・マン
「大恐竜人間博 」のサントラをベースに作られたという今作。
これ聴いたときほどSuper Audio CD聴ける環境を欲したことはない、、というかDSDはmoraで出てたんですね、、
DSD録音されており、コントラバスの擦れる音や、アタック音、時折聞こえてくる足音?の感触まで聴こえきて、少ない楽器の音の拡がりだけで太古の時代にいるような不思議な気分になるアルバム。
今年はソロ作も多く聴いた年で(大友良英「Left」ジョン・ブッチャー「逃げ水」等)今作はオノセイゲンさんがギター参加されたり、厳密にはソロではないかもしれないけれど、ジャズのソロ演奏のような厳かな緊張感も感じられて素晴らしい作品でした。
須藤俊明 / mobile suite
ジムオルークと同じぐらい石橋英子、前野健太と共演していて、たまにCOMBOPIANOに参加していると言う印象だった須藤俊明さんによるソロアルバム。(メルトバナナの初期メンバーだったのですね、、)一聴するとわけの分からぬ展開に少し戸惑いますが耳に残りもっかい聴きたいなってなるアルバム。触れ込みではプログレAORと呼ばれていたので、なるほど!となりましたが、恐らくAORもプログレも詳しくない人ほど引っかかるアルバムなのではないかと思っています。ちなみに作者ご本人はカンタベリーと称しているそうです。
Kink Gong / Tanzania
いつだったか石野卓球氏が夢中になってるツイートを見かけてから知った人で、今作を聴いていたら凄い虜になってしまいました。どこかの部族の生活音を録音して、電子音を塗してコラージュエディットしているのだと思いますが、どこからどこまでが編集されてるのか、分からなさが丁度良い湯加減の、ミュージックコンクレートとなっています。
Christian Scott / Stretch Music
昨今のジャズに対する変容っぷり(ロバートグラスパーとかハイエイタスカイヨーテとかマークジュリアナとか)の中でもダントツだったのがこの人のこのアルバムでした。
とりあえず1曲目のドラム?サンプラー?だけでご飯3杯イケます。いちいち音像が好みでジャガジャジスト好きな人とかはご飯6杯イケるんじゃないでしょうか。
来年もこういったジャズの拡大解釈が進んでいくことを切に望みます。
DAYME AROCENA / Nueva Era
こちらはジャズとは少し違うのかもしれませんが、土着的な音楽の新しい流れでぶっ飛んだアルバムの一つです。キューバの新しい潮流でみんな大好きジャイルス・ピーターソンのオススメでもあるそうです。
まず楽曲の力強さが際立っており、そういう楽曲・演奏に負けない声の存在感というのもこのアルバムを特別なものにしているのかな、と感じます。ちなみにまだ22歳だそうです。貫禄あり過ぎ。
服部峻 / MOON
今年、arcaよりもOPNよりも凄かったのは実は彼なのではないかって気がしてならない。
ある程度いくところまでいった電子音楽が次に進むタームとして色々な挑戦があるかなと思うんですが、生楽器音源を解体したて用いたり、脳波のような音を用いたり、今考えられるあらゆる電子音の表現に挑戦する姿勢を感じます。それでいて上品さも失っていない。
次回作への期待も膨らみます。
ECD / Three wise monkeys
ECDさんはtwitterでフォローしていて、暴力についてや芸術についての考え方に対して納得いかないことも含めてずっと見ていたのですが、このアルバムで納得いかなかったことが腑に落ちてしまい、ラッパーとは凄いものだな、と痛感したアルバムでした。
トラックと言葉の選択がキレッキレ。
作中でSEALDsの正義が語られているという意味では、彼らがもたらした1つの成果としてこのアルバムがあると思います。
JOANNA NEWSOM / DIVERS
ハープシンガーによる最新作。私大好きスティーヴアルビニによる録音作品です。
今までは厳かな印象だけだったのが今作ではこんなポップな曲できるんだ!と新たな一面を見た印象。なんかアメリカーナみたいな曲あるし。特にラスト曲の展開は圧巻。深海に潜り込んだダイヴァーが水面に駆け上がってくるような高揚感がある。
FLOATING POINTS / Elaenia
最初に聴いたときは、冷たいエレクトロニカ!とか言う印象だけだったのですが聴き進めていくと、いきなりアンサンブルが展開されたりと、静かな中にジワジワ燃えるものがある想像以上に好みな音源でした。
Jonny Gre Tzur Shye Ben / Junun
Radioheadのギター、ジョニーグリーンウッドが親交の深いイスラエルの音楽家シャイ・ベンツル らとの共作。宗教音楽カッワーリーをベースに西洋風にアレンジした楽曲がかつてない未体験の音楽となって、、腰が、、踊らされてしまう!!!!
これは激ヤヴァです。ジョニーグリーンウッドってのは音楽のコアを取り出して自分のものにして弄繰り回して遊ぶのが好きな男だとつくづく思い知らされました。
Phew / ニューワールド
Phewさんのライブを最近見る機会があり、その時からサンプラーをこねくり回して「サンプラー語り」をしていました。
機械と一緒に呪詛のような歌を歌う、一見無機的にも見えるそのスタイルで、最後にやった曲がとても温かみと情動があって、ライブ後に思わずご本人になんという曲名なのか尋ねると、それは「子供のように」という楽曲でした。
Phewさんの歌には大人に潜む子供の視点が入っている。この世の全ての虚しさを見透かす大人。それは幽霊かもしくは、自分自身か。
「沢山文字を読みました。沢山映画を見ました。沢山音楽を聴いた、けれど全部忘れた」と歌うPhewさんの歌が、この文章を書いている自分にとって少し重さも感じます。
Battles / La Di Da Di
前々作「ミラード」でバトルスは、「声」を楽器として用いるスタイルを突き詰めることを始めたという印象でした。それを強く推し進めていのがタイヨンダイ。ただし彼はその後脱退してしまいます。
タイヨンダイ無き後に作られたアルバム「グロスドロップ」ではタイヨンダイの穴を埋めようとしながら、同時に声を楽器として用いるスタイルも諦めていなかったように思います。その方法として多くのゲストミュージシャンを起用して歌を曲に取り入れていました。ライブでは歌だけオケで流しながらそれに合わせて演奏をするといったこともしていました。
私は歌というのはどれだけエフェクトをかけようとも人の喉を通過してこその歌と信じる部分があるため、そんなバトルスを少し敬遠していました。
そして今回発売されたアルバムでは見事に、タイヨンダイがいなくなった、その後の3人としてのバトルスの限界を追求できていると思います。
バトルスが得意とする楽器音の混濁化、元々楽器が持っている性格を維持しながら別の音にトランスフォームすることに成功しており、さらに超絶アンサンブルを築くことに成功していると思いました。来日でもオーバーダヴ演奏が神がかっており、しばらくこのスタイルで彼らを超えるバンドは出てきそうにないことを予感する演奏でした。
と、いうわけで2015年リリースされて聴いてきたものを駆け足で書いていったんですが、、
なげーよ
Apple Musicで聴いた音楽は気が向いたら書きます、、
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