支援会社か事業会社か
退職をしてからまもなく2ヶ月になる。
ここ最近は転職活動と、プログラミング言語習得やらSPI対策の勉強と、Youtubeでホラー映像か昔のバラエティ番組見る生活を繰り返しており仕事期のだいたい1/3ぐらいのペースで活動している。
決まった面接の数や受けている企業の数を考えると、もう少しやった方がいいのではないか(ブログ書いてるよこの人)と思われるし自分自身思うとこもあるのだが、狙っている仕事内容と自分自身のスキルの幅狭さからどーにもこーにも厳選して動くことにはなる。
私はWebアナリストだった。
表題の「支援会社か事業会社か」というのはデジマ業界のトロッコ問題と呼ばれるぐらい永遠に解けない問いなのだという。しかし殊、分析業務に関しては、この問いにそろそろ終わりが来るのではないかと考えている。
私はWeb業界に飛び込んでから約10年目の人間なのだが職種、業種は異なるもののずっと「支援会社」にいる。
「支援会社」といってもピンキリではあるが、前々職は大手レコード会社と癒着状態にあった中小制作会社、前職は主に代理店アンダー(いわゆる下請け)メインの会社で、青RやHやDのような景気の良い代理店とは異なる支援会社にいた。
支援、と一言で言っても支援する内容は様々だ。
その中でも前職で支援してきた「Webアナリティクス」という業務はもう支援するには向かなくなっている。それを今では強く感じている
そもそもWebサイトのアクセスログ(に限らないが)分析は、コストをかけて誰かにお願いしてダラダラレポートをやった気になるのではなく、
全ての人間が自分事として目的を持って分析に取り組み、分析結果を元にした意思決定~知見の共有・蓄積・活用を繰り返していかなければやる意味が無い。
そういった考えが大手企業にはもう浸透しつつある。
そのため「何かの制作や広告運用の一環で分析も請け負う」だとか「計測実装やオフラインデータを交えた整理、前処理を請け負う、その延長上で少し分析をお願いする」といったことでなければわざわざ分析業務を外部に頼むことがない、いわばオマケの業務になってしまった。
そんなわけで営業は全然仕事取ってこれなくなってしまっていた。
上記のように、「Webアナリスト」という職業が支援に向かなくなっていく中で
私がいよいよ辞めようと思うきっかけになった前職で体験したいくつかの生々しい話を挙げてみる。
■クライアント先に吸収されていくオンサイトメンバー
前職では主にクライアント先に常駐(オンサイト)して分析業務に携わるシチュエーションが多かった。長い期間になると5年以上常駐しているメンバーもいた。
そんな体制が続くと何が起きるか?
引き抜きである。
前職のクライアントのほとんどが大企業の事業会社で、常駐先企業に入ってしまった方が安定や給料増額することが多い。優秀な社員からすればそうした方がメリットがあるのは自然な話だ。
そうやって優秀な社員が引き抜かれることで起きるのは組織の逆T字現象だ。
若い社員・経験の浅い社員が多く残り、数少ないマネージメント層の社員がそれらを取り仕切ることとなる。
その結果、現場のクオリティは下がりそうマネージメント層は疲弊する流れが、気づいたら出来上がっていた。
■オフサイトはオンサイトよりも非効率
前職も上記の課題を一応ただ黙って見ていたわけではなかった。
その対応策がオンサイトに対してのオフサイト、つまり常駐に対しての内勤だ。
「仕事を持ち帰ってきて分析することで複数クライアントからの案件を複数メンバーで対応可能となり分析等の対応の質も上がる」
というのが建前で、これでメンバー流出をせき止めるのが狙いだった。
しかしこれにはいくつか障害があった。
・共有されるデータの制限
基本的にアクセス解析ツールは社内に限定して使われることを前提にしているため、IP制限等で外部からのアクセスを禁じているところは多い。
にも関わらずよく理解せぬまま営業が持ち帰ってきていざとなったらアクセス解析ツールにアクセス出来ず結局契約解消となったり、代理店はOKだとしても依頼主側がNGを出したり、
よしんばこれが解決したとしても、深い分析をするためにアクセスログデータ以外のデータ(購買データ等)を持ち出しすることにハードルがあったり、難点が多々あった。
・ローカルルールによって業務内容共有の難易度が上がり属人化
各プロジェクトにおけるクライアントからすれば、オンサイトだろうがオフサイトだろうが、抑えといてほしいローカルルール(大きい所で言えば業界の特殊事情や登場人物の役職、細かい所で言えばその会社の商品名略称やその会社だけで暗黙に共有されている地雷)がある。
当初想定していた分析に関する要件(計測内容、レポートの更新方法、データ欠損の有無や常時使用しているセグメント等のデータ特性)についてならばある程度共有対象の範疇で、ドキュメント化して複数メンバーで協力する体制が出来ると踏んでいた。
それが、たまにしか対応しないメンバーに向かって当然のように
「DECから来ているOHの件なのですが、PQということでよろしいでしょうか?急ぎなので本日中にご回答いただきたいです。」
と来られてもそのメンバーが即刻対応するのは難しい。
結果、フレキシブルに対応するために特定のメンバーが全容を把握するという属人化の流れが生まれていき、ほとんどオンサイトと変わらぬ動きをすることになり、常駐していない分コミュニケーションが取りづらいという二重苦にハマっていった。
他にも以下の様な問題があったがいよいよ単なる愚痴になりそうなので割愛する
・クライアント側に窓口が立たない(もしくは無能)により便利屋化
・二兎を追う姿勢で新人のOJT環境として併用したことによるミドルメンバーの負担
■会社としてのやる気のなさ
そういったわけでどんどん人は減っていき、内勤で余計仕事がやりづらくなり、
営業が仕事を取ってこれなくなる中で会社はどうしたかというと、会社の総会で発表した打開策がこれだった
「データサイエンティストを1人入れる」
まったく意味が分からなかった。
1人入れてどーするというのだろう。
その先のビジョンは。
今ほとんどの社員が感じている危機感をこれで払拭できると思っているのならとんだお花畑だ。
そもそもクラウドストレージサービスにアクセス不可というIT業界にあるまじき作業環境でなーにがデータサイエンティストだ、と
とにかくこれがトドメとなって退職を決意した。
つまりはこの会社はこの分野でやっていくつもりはもうないんだ、と理解した。
正確には打つ手が思いつかない、だと思うのだが。
というようなわけで今後分析で支援するというのは、よっぽど統計やら機械学習やらでバリバリ尖っているか計測実装やデータ前処理等の面で尖っていなければ、もう緩やかに死んでいくだけなのだというのが私の結論でした。
このまま死を迎えるよりかは少しでも負荷をかけて旅立つことを選んだ、、、
と言えば聞こえはいいが、5年前転職した時はこうなるとは、、いや、少し思ってたかもな。
まぁ人生思い通りにいかないもんだねってことでこの曲です。
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